三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月刊総合情報誌

社会・文化

《日本のサンクチュアリ》福島国際研究教育機構

被災地復興「度外視」の新利権

2025年3月号

 悲劇を再生と希望の活劇に変えるはずの舞台が、学閥や官僚の独善、そして舞台に投じられる巨額の公費を利権としか考えない政治家や研究者によって蝕まれつつある。東日本大震災の東京電力福島第一原子力発電所事故で汚染された「浜通り」の復興の一翼を担う福島国際研究教育機構(F-REI:エフレイ)のことである。
 F-REIは震災から3年近くが経った2014年1月に「福島イノベーション・コースト構想」の一環として議論が始まり、23年4月、福島復興再生特別措置法に基づき福島県浪江町に開設された特殊法人だ。
 複合災害を逆手にとり、原発の廃炉に使うロボットや被災地の放射線データを活用した新たな創薬といった被災地ならではの研究開発を進め、浜通りを最先端技術の集積地として復興させる狙いだ。現在は浪江町の公共施設に「仮住まい」しながら、30年度までに新たな施設で名実ともに全開状態に突入する予定だ。
 目標は高く、29年度中に「世界最先端の研究開発拠点」として「創造的復興の中核拠点」の役割を担うとしている。
 開発した技術を社会に実装するために「研究開発」「人材育成」「司・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます