三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月刊総合情報誌

経済

《企業研究》日本生命

経団連「会長輩出」の笑止千万

2025年3月号

 異例の上に何度も異例を塗り重ねた人事だ。日本経済団体連合会次期会長に日本生命保険の筒井義信会長が内定した。トヨタ自動車の佐藤恒治社長や富士通の時田隆仁社長ら四人の新副会長への起用を含めて今年五月二十九日の定時総会で正式決定し、就任する。
「財界総理」とも呼ばれる経団連会長選びには適否は別にして、いくつかの不文律や慣例とも言えるルールがあった。①現職の副会長か副会長経験者から選ぶ②製造業の会長か社長が適任③(金融機関をはじめ)政府の関与を受けやすい免許業種出身者は避ける―などだ。このうち筒井氏が満たしているのは一つしかない。十倉雅和現会長(住友化学会長=四月取締役相談役に就任後、六月取締役も退任予定)に“閣内”に迎え入れられ、二〇二三年から副会長を務めている点だけだ。
 筒井氏はいまの日生会長のポストを四月で退き、七月開催予定の日生の定時総代会を経て「特別顧問」になる。経営者としての存在感は格段に薄くなる。そのうえ歴代経団連会長の顔ぶれをみても非製造業出身者は過去に第二代会長・石坂泰三氏の後任として一九六八年に事務局プロパーから抜擢された植村・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます