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政治

亡国の「ぬるま湯国会」

与野党合作「放漫予算」で傾く日本

2025年3月号

 NHKが中継枠を押さえた予算審議があえなく流れたのも、与党の提案に憤懣やる方ない表情で野党幹部が席を立つのも、結末の見えた論戦の舞台を盛り上げる「永田町劇場」の演出の域を出ない。不思議な多幸感に包まれて、与党は主体的に政策を進める熱意を欠き、野党は人気取りに走り、衆議院解散総選挙の可否をめぐって揺れる総理大臣・石破茂には政治生命を懸ける大目標がない。そんな「総無責任体制」の政治が、日を追うごとに露わになっている。
 二月十七日の衆議院予算委員会で、立憲民主党代表の野田佳彦は自身が総理大臣だった二〇一二年は当時の野党第一党だった自由民主党に新年度予算の前年度内成立を阻まれ、暫定予算を組んだ恨み節を口にしつつ、石破内閣の二五年度予算案には「報復しない」と明言した。その理由として、暫定予算は国民生活への影響が大きいうえ、政権の弱さを内外に示し、国益を損なうからだと語った。
 総理大臣経験者ならではの野田の発言には、国益優先の立場を明確にし、二月十四日に発表した立憲民主党の歳出総額三兆七千九百三十五億円に上る予算修正案の反映を石破に迫るとともに、同党が政権を担える「責任政・・・

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