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サウジは「ガザ」を売り飛ばす

堕ちた盟主「二枚舌外交」の裏切り

2025年3月号

 サウジアラビアが、荒廃したガザをめぐり冷酷な駆け引きを繰り広げている。サウジアラビアは表向きこそ「パレスチナ国家の樹立」を声高に訴えているが、実際にはガザの処遇について責任を放棄しようとしている。一体、ガザに関して何が起きているのか。サウジアラビアの欺瞞と名ばかりの盟主の実態を探った。
「アラブの盟主」を自任するサウジアラビアは、公式の場ではパレスチナ国家の独立を全面的に支持すると表明している。しかし、その舞台裏ではガザの復興をアラブ民族の大義と連携の象徴ではなく、手に負えない厄介な問題と見なしているのが実情だ。表向きはイスラエルを批判する一方で、水面下ではイスラエルと交渉し、ガザの責任から解放される道を模索している。もはや「盟主」としての威厳は影を潜め、サウジアラビアの外交は利益最優先の二枚舌へと変貌しているのだ。
 そんな中、トランプ米大統領が放った「ガザを所有し、再建する」という発言にアラブ諸国の首脳陣は、困惑するどころか、むしろ安堵の表情を浮かべた。ガザという重荷が米国という超大国に移るなら、彼らにとっては願ってもない展開だ。ところが、この発言に対してイス・・・

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