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社会・文化

中国AI「ディープシーク」は危ない

嘘まみれ「模倣品」に騙されるな

2025年3月号

 世界に衝撃を与えた中国AI(人工知能)企業ディープシーク社のAIモデル。日本では「第一人者」「けん引役」とされる専門家が早々に安全性について擁護し、メディアも好意的だ。しかし鵜呑みにしてはいけない。トランプ政権の「AI・暗号資産責任者」は「ディープシークはチャットGPTの『模倣品』。データを盗んでいる証拠はある」と断言する。さらにこのAIが吐き出す回答は中国政府に検閲されている可能性もある。
 トランプ大統領就任式があった一月二十日、ディープシーク社は「ディープシーク-R1」という無料で使えるオープンソースの生成AIモデルを公開した。この日の発表は中国共産党の指示を受けたものだった。政権発足前から支援強化を宣言していたアメリカ製の生成AIに対抗するためだ。
 発表当初はディープシークの評価は高かった。世界のAI向け半導体製造を牛耳る米エヌビディアの株価が一七%下落、一時は時価総額約五千九百億ドル(約九十一兆円)を失う事態になった。
 AI開発で世界から遅れている日本では好意的なメディアも多い。新聞などで「AI研究の第一人者」とされる東京大学の松尾豊教授は・・・

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