連戦連勝「村上世彰」の異様
標的企業が膝を屈する理由
2025年3月号
日本のアクティビスト(物言う株主)の先駆けと言えば、誰に聞いてもこの人の名前をあげることだろう。シンガポール在住の村上世彰氏。そのパワーは「村上ファンド」立ち上げから二十年以上たった今も、衰えるどころかむしろ勢いを増しているように見える。
二月三日。京セラの発表に株式市場関係者は驚いた。二〇二五年三月期通期の純利益予想を七百十億円から二百億円に五百億円以上も下方修正したのだ。スマートエナジー事業や機械工具事業の市況回復遅れ、半導体部品有機材料事業における減損損失などを理由にあげた。
だが驚きは下方修正に関してではない。同時に発表した資本政策に関してだった。大幅な下方修正にもかかわらず、二六年三月期に二千億円程度の自社株買いをすると発表したのだ。さらに二七年三月期からの三年間でも追加で二千億円規模の自社株買いをすると表明した。四年間で総額四千億円規模の株主還元を下方修正と同時に出したことになる。
業績悪化にもかかわらずなぜこんな大盤振る舞いに踏み切ったのか。ある京セラ関係者は「この株主還元を発表させたのは村上さんの存在だ」と声を潜めて言う。大量保有報・・・
二月三日。京セラの発表に株式市場関係者は驚いた。二〇二五年三月期通期の純利益予想を七百十億円から二百億円に五百億円以上も下方修正したのだ。スマートエナジー事業や機械工具事業の市況回復遅れ、半導体部品有機材料事業における減損損失などを理由にあげた。
だが驚きは下方修正に関してではない。同時に発表した資本政策に関してだった。大幅な下方修正にもかかわらず、二六年三月期に二千億円程度の自社株買いをすると発表したのだ。さらに二七年三月期からの三年間でも追加で二千億円規模の自社株買いをすると表明した。四年間で総額四千億円規模の株主還元を下方修正と同時に出したことになる。
業績悪化にもかかわらずなぜこんな大盤振る舞いに踏み切ったのか。ある京セラ関係者は「この株主還元を発表させたのは村上さんの存在だ」と声を潜めて言う。大量保有報・・・