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政治

自民党右派の「新アベガー」症候群

《政界スキャン》

2025年3月号

 とんでもない地雷を踏みやしないかと危ぶまれた石破茂首相とトランプ米大統領の初顔合わせ(二月七日)は、予想(期待?)を裏切る友好ムードで、内閣支持率の大半が上向いた。上げ幅にムラがあり、弾みがついたとまでは言えないが、政権内にはとりあえず第一関門を通過した安堵感が漂う。
 まだ高関税、防衛費、日本製鉄のUSスチール買収と難題山積。「一過性のビギナーズラック(初心者のまぐれ当たり)」とやっかまれるのは無理もないにせよ、石破氏が入念な準備によって、意外な芸の細かさ、したたかさを発揮したのは見逃せない。
 自民党右派は「うまくいったのは安倍晋三元首相と、事前にトランプ氏と会って地ならしした昭恵さんのお陰だぞ」と悔し紛れに似たクギを刺す。トランプ氏は会談で何度も安倍氏に言及。石破氏も「日米の緊密な関係は大統領と亡き安倍氏が礎を築いた」と応じるなど、安倍氏の影が会談の空気をつくったのは確かだろう。
 裏を返せば石破氏は、政敵だった安倍氏の遺産をちゃっかり取り込んだと言える。臆面もなく功績をたたえてトランプ氏の歓心を買い、来日を招請し快諾を得た。党内右派に「安倍さんを・・・

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