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WORLD

「1939年」に逆戻りする世界

米中露で国際秩序を決める時代へ

2025年3月号

 アメリカでドナルド・トランプ氏が大統領に就いてから1カ月あまりが過ぎ、世界が変わった。日本やカナダ、ヨーロッパといった同盟国をないがしろにし、強権国家に近づく。トランプ氏、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、そして中国の習近平国家主席という「力の信奉者」の三人が新しい世界秩序を決めてしまうかもしれない。独裁者たちが群雄割拠した第二次世界大戦前のような薄気味悪さが漂う。

ネオファシズムの薄気味悪さ

 2022年に始まってから丸3年が過ぎたウクライナ戦争の終結に向け、米ロが直接対話に動いた。驚くのは、その意気投合ぶりだ。
 アメリカは「全ての当事者が受け入れ可能」な停戦の枠組みを探るという。むろんロシアの言い分を聞くという意味でもある。ロシアのラブロフ外相は「アメリカ側がロシアの立場に耳を傾けるようになった」と呼応した。
 アメリカでは第二次政権「トランプ2・0」の発足後の世界秩序をヤルタ体制と比べる論調が目立つ。1945年、第二次大戦後の世界秩序を決めたヤルタ会談に参加したイギリスのチャ・・・

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