高齢者標的「原野商法」が再流行
悪徳業者「合法詐欺」にご用心
2025年2月号
「離れて住む娘には言えんよね。私が悪いんだから……」
北関東で初雪が舞い始めた十一月下旬、底冷えする室内で着込んだ上着の袖に目を落としながら、ぽつりぽつりと話し始めた。年老いたその女性の部屋には、通販や訪問販売で購入したであろう健康器具や食品の段ボール箱が積み重なり、屋根には真新しい太陽光パネルが光っていた。
特殊詐欺、強盗、窃盗―高齢者の資産を狙った犯罪事件は後を絶たないどころか日に日に目にする機会が増え、闇バイトにまつわる報道が多くを占めた二〇二四年だった。年が明け、ニュースで目にする回数は減ったが、被害件数が減った訳ではない。高齢者の資産をめぐっては二〇三〇年に個人金融資産の三一%、六百二十兆円近くを七十五歳以上が保有するという推計もあり、犯人らは虎視眈々と新たな獲物を狙っている。
そんな中、「合法詐欺」とも言える高齢者を食い物にした悪徳商法が再び隆盛を極めている。近年にわかに再燃し、その被害額が大きいのが「原野商法」だ。値上がりの見込みがほとんどないような郊外の山林や原野について「将来的に高値で売れる」などと勧誘し・・・
北関東で初雪が舞い始めた十一月下旬、底冷えする室内で着込んだ上着の袖に目を落としながら、ぽつりぽつりと話し始めた。年老いたその女性の部屋には、通販や訪問販売で購入したであろう健康器具や食品の段ボール箱が積み重なり、屋根には真新しい太陽光パネルが光っていた。
特殊詐欺、強盗、窃盗―高齢者の資産を狙った犯罪事件は後を絶たないどころか日に日に目にする機会が増え、闇バイトにまつわる報道が多くを占めた二〇二四年だった。年が明け、ニュースで目にする回数は減ったが、被害件数が減った訳ではない。高齢者の資産をめぐっては二〇三〇年に個人金融資産の三一%、六百二十兆円近くを七十五歳以上が保有するという推計もあり、犯人らは虎視眈々と新たな獲物を狙っている。
そんな中、「合法詐欺」とも言える高齢者を食い物にした悪徳商法が再び隆盛を極めている。近年にわかに再燃し、その被害額が大きいのが「原野商法」だ。値上がりの見込みがほとんどないような郊外の山林や原野について「将来的に高値で売れる」などと勧誘し・・・