国策「海底送電網」構想が頓挫寸前
電力四社「撤退検討」の裏事情
2025年2月号
雪煙の中に霞む大型クレーンの林立、行き交うトラックや重機の群れ……、新千歳空港(北海道)の到着ロビーからは今、こんな景色が見渡せる。
ラピダス「IIM-1」―。言うまでもなく、経済産業省が九千二百億円を資金支援し、建設中の次世代ロジック半導体の工場だ。四月の試作ライン稼働に向けた工事進捗率は八〇%を超え、中核設備である「EUV(極端紫外線)露光装置」も搬入された。地元の千歳市は企業進出に沸く。
一日四千五百人の作業員が従事する工事を支えるため、大和ハウス工業や東急不動産はオフィスビル、ホテル、マンションの整備に乗り出し、日本エスコンは大型物流倉庫を建設、周辺には商業施設の計画が相次ぐ。コロナ禍以来、さびれていたJR千歳駅前の商店街も活気を取り戻した。が、ある電力関係者は渋面をつくる。
「“日の丸半導体”の経済効果は大きい。皮肉にも、それが再エネ送電線の巨大プロジェクトを幻に終わらせかねない」
巨大プロジェクトとは、同じく経産省が六兆円超の整備費を掲げ、全国に計画する「広域連系系統」、いわ・・・
ラピダス「IIM-1」―。言うまでもなく、経済産業省が九千二百億円を資金支援し、建設中の次世代ロジック半導体の工場だ。四月の試作ライン稼働に向けた工事進捗率は八〇%を超え、中核設備である「EUV(極端紫外線)露光装置」も搬入された。地元の千歳市は企業進出に沸く。
一日四千五百人の作業員が従事する工事を支えるため、大和ハウス工業や東急不動産はオフィスビル、ホテル、マンションの整備に乗り出し、日本エスコンは大型物流倉庫を建設、周辺には商業施設の計画が相次ぐ。コロナ禍以来、さびれていたJR千歳駅前の商店街も活気を取り戻した。が、ある電力関係者は渋面をつくる。
「“日の丸半導体”の経済効果は大きい。皮肉にも、それが再エネ送電線の巨大プロジェクトを幻に終わらせかねない」
巨大プロジェクトとは、同じく経産省が六兆円超の整備費を掲げ、全国に計画する「広域連系系統」、いわ・・・