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政治

さまよえる「石破外交」

日米首脳会談「完敗」の暗雲

2025年2月号

 国際情勢が不安定な時、自国の安全に不可欠なのはDIME+T(Diplomacy=外交、Intelligence=情報、Military=軍事、Econo-
my=経済、Technology=技術)だと言われる。米国のドナルド・トランプ政権の復活で世界が視界不良になる中、日本ではIやMに憲法上の制約があるばかりか、首脳の力量が最も問われるDさえも機能不全になっているとの懸念が広がる。元凶は、外交感覚がずれた総理大臣・石破茂その人にある。
 トランプの大統領就任式まで二週間を切った一月上旬、石破は二〇二五年初の外国出張として、ASEAN(東南アジア諸国連合)議長国のマレーシアと、東南アジア最大の人口を擁するインドネシアを訪問した。国際会議への出席を除けば、石破にとって「二国間外交」のデビューでもあった。
 一月九日、出発に際して記者団に「不確実性を増す国際社会で東南アジアとの関係は今まで以上に大事にしたい」と語った石破が心中期していたのは「経済安全保障」の成果だった。ただし、それは近年の機微技術の保護や、経済を「武器」にした駆け引きとしての「経済安全保障」で・・・

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