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「ウクライナ停戦」米露の計略

トランプが傾く「悪い取引」

2025年2月号

 アメリカ大統領ドナルド・トランプの傍若無人な言動に世界が身構えるなか、ロシア大統領ウラジーミル・プーチンは長年の野望を叶える機会をうかがっているようだ。トランプが公約にした「停戦」の交渉をウクライナの支配につなげ、ヨーロッパの安全保障を巡って取引することも目論んでいる。
 トランプとクレムリンをつなぐグループがいる。ウクライナでの「停戦」をかねて唱えてきたアメリカのランド研究所や外交問題評議会のロシア専門家や元政府高官だ。
 米露の外交が途絶えるなか、外交問題評議会会長だったリチャード・ハースらは二〇二三年にロシア外相セルゲイ・ラブロフと会談した。ウクライナを頭越しにしたロシアとの協議は当時批判も浴びたが、「トラック2外交」と呼ばれるチャネルは継続し、クレムリンで外交を担当する大統領補佐官ユーリー・ウシャコフと接触している。
 このグループは停戦交渉について、ヨーロッパ諸国とウクライナは外して、まず米露間でヨーロッパの安全保障を話し合うべきだとトランプに助言。クレムリンはトランプが前向きであるとの情報を受け、米露首脳会談に備えている。
 プーチ・・・

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