《世界のキーパーソン》グスタボ・ペトロ(グスタボ・ペトロ)
移民問題で米国と戦う「元ゲリラ」
2025年2月号
米国の不動産王対左翼ゲリラ。
注目の初戦は、ドナルド・トランプ米大統領の完勝に終わった。トランプ政権は、一月二十日の誕生直後から、中南米からの移民流入に対して、米軍機に乗せて出発国に送り返すという強硬策を導入した。これに対して、コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領は「移民は犯罪者ではない」と、強制送還計画に激しく反発した。
だが、移民を乗せた米軍機二機が実際にコロンビアに向かうと、これを追い返すことはできなかった。トランプ政権は、「送還を受け入れなければ、米国への輸出に二五%の(懲罰)関税をかける」と、さらなる威嚇をしたためだ。「移民流入は、出発国に責任を取らせる」というトランプ政策は、最初の成果を収めた。
ペトロ大統領には、この対決以前から、米国への敵意があった。
一九六〇年、教育者の家庭に生まれた。高校時代からマルクス主義を信奉して、左翼ゲリラ「四月十九日運動(M-19)」の武装闘争に加わった。当時のペトロにとっては、「帝国主義=米国」は中南米諸国の貧困、あらゆる不正義の象徴であり、諸悪の根源だった。ペトロは活動家時代に収監され、拷問・・・
注目の初戦は、ドナルド・トランプ米大統領の完勝に終わった。トランプ政権は、一月二十日の誕生直後から、中南米からの移民流入に対して、米軍機に乗せて出発国に送り返すという強硬策を導入した。これに対して、コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領は「移民は犯罪者ではない」と、強制送還計画に激しく反発した。
だが、移民を乗せた米軍機二機が実際にコロンビアに向かうと、これを追い返すことはできなかった。トランプ政権は、「送還を受け入れなければ、米国への輸出に二五%の(懲罰)関税をかける」と、さらなる威嚇をしたためだ。「移民流入は、出発国に責任を取らせる」というトランプ政策は、最初の成果を収めた。
ペトロ大統領には、この対決以前から、米国への敵意があった。
一九六〇年、教育者の家庭に生まれた。高校時代からマルクス主義を信奉して、左翼ゲリラ「四月十九日運動(M-19)」の武装闘争に加わった。当時のペトロにとっては、「帝国主義=米国」は中南米諸国の貧困、あらゆる不正義の象徴であり、諸悪の根源だった。ペトロは活動家時代に収監され、拷問・・・