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WORLD

世界で孤立する米国

新版「MAGA」で崩れる西側同盟

2025年2月号特別リポート

 米国でドナルド・トランプ大統領の2期目がスタートし、世界の政治経済が急速に不透明さを増している。ロシアによるウクライナ侵攻と中東での戦争という2大危機が同時進行する中、トランプ大統領は「アメリカ・ファースト(米国第一)」を再びうたい文句にして、米国の利益を最優先にする安全保障・通商政策に乗り出した。
 トランプ大統領は早速、デンマーク領グリーンランドの「購入」とパナマ運河の「支配権奪還」を要求し、北大西洋条約機構(NATO)同盟国や中南米諸国に大きな不安を巻き起こしている。いずれも、中国やロシアとの地球規模での競争をにらんだものだが、かつての帝国主義や植民地主義を彷彿とさせる野心に、同盟諸国の間でも新たな動揺が広がっている。
 日米欧が中核だった自由民主主義体制が揺らぐことで、西側主導世界の柱が失われ、各国内政が大きく混乱する懸念も強まっている。
 韓国では尹錫悦大統領が内乱容疑で政治権力を奪われたほか、G7の複数の国で政権与党が指導力を失っている。日本の石破茂首相はまさにその1人であり、液状化する世界秩序にどう対処するのか、道筋を全く描けないでいる。{・・・

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