東京女子医科大学は、我が国で唯一の医学部を有する女子大だ。1900年に吉岡彌生が設立した東京女医学校を前身とする。吉岡は1871年に遠江（静岡県西部）に生まれ、済生学舎（現日本医科大学）で学んだ。「女がいると風紀が乱れる」という理由で、済生学舎が女子の入学を制限しようとしたことに反発し、この学校を立ち上げた。
　かつて、女子医大以外にも女子の医学校は存在した。帝国女子医学専門学校（医専、現東邦大学医学部）、大阪女子高等医専（現関西医科大学医学部）、さらに戦中には、軍医として徴用された男性医師の穴を埋めるため、7つの公立女子医専が設立された。これら10校のうち、7校が医学部として存続しているが、女子大を続けているのは女子医大だけだ。
　卒業生は、そのことに誇りを抱いている。彼女たちは、至誠会と呼ばれるＯＧ会を介して結束し、大学運営に大きな影響力を行使してきた。1月13日に背任容疑で逮捕された元理事長の岩本絹子は、2013年から解任される23年まで至誠会会長を務めてきた。
　女子医大の低迷が指摘されて久しい。卒業生たちは、創業者一族でもある岩本に女子医大の立・・・