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経済

絶望のトヨタ「ウーブン・シティ」

杜撰極まる章男「肝煎り事業」

2025年2月号

「テイラー・スウィフトになった気分です」
 トヨタ自動車の豊田章男会長は、一月六日に米国・ラスベガスで行われたテクノロジー見本市「CES」で、ステージに登場するなりこう話して会場を凍りつかせた。豊田氏は、社を挙げて取り組む「ウーブン・シティ」事業についてプレゼンしたが、その後も会場が盛り上がることはなく淡々と終了。この事業のお寒い前途を暗示しているかのような光景だった。
 トヨタは今回のCESに向けて入念な準備をしていた。豊田氏が五年ぶりに参加するということもあり、在名古屋の担当記者に米国での取材を呼びかけ、オンラインでも参加できるよう、日本時間午前六時にスタート。これに呼応するように日本経済新聞はネット版に「新春はCESから とにかく二〇二五年はクルマ」という特設コーナーを設けた。
 しかしご存じの通り、今年のCESは「とにかくAI(人工知能)」(経済紙記者)だった。誰もトヨタになど注目せず、用意されたモビリティ関連のプレゼンスペースには閑古鳥が鳴いていた。人の集まりが悪かったのを見た豊田氏は、「直前になって発表原稿を削りはじめ、当初、三十分の予定だった・・・

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