《地方金融の研究》広島銀行
地域トップ「陥落」の日は近い
2025年2月号
地方銀行の業績ランキングを眺めると、首都圏と中・四国、九州地方に業績上位行が偏っていることに気がつく。業績不振で経営統合が相次いでいるのは東北や北陸地方が中心。特に目立つのは中国地方で、広島銀行を筆頭に中国銀行(本店・岡山市)、山陰合同銀行(本店・島根県松江市)、山口銀行(本店・下関市)と旧第一地銀の域内四行が二〇二四年三月期決算の本業利益でトップ10に入っている。
中国地方は全国でみれば、むしろ「回復が遅れ気味」といっていいが、地銀四行の業績が好調なのはそれぞれのフランチャイズ地域で預金、融資が寡占状態となり、複数行で金利切り下げ競争やリスク度外視の融資など血みどろの戦いを展開する必要がないからだ。無風の地銀安定地域にみえる中国地方で実は、シェアトップの広島銀に不安な影が忍び寄っている。
「尼子が来るぞ!」。広島銀の支店では二四年春、幹部から融資担当者にこんな檄が飛んだ。尼子は戦国時代に今の島根県安来市の月山富田城を拠点として中国地方に覇を唱えようとした戦国大名。広島の毛利家と激しく衝突し、一時は毛利を追い込む勢いだった。
"尼子"とは山陰合銀。広銀・・・
中国地方は全国でみれば、むしろ「回復が遅れ気味」といっていいが、地銀四行の業績が好調なのはそれぞれのフランチャイズ地域で預金、融資が寡占状態となり、複数行で金利切り下げ競争やリスク度外視の融資など血みどろの戦いを展開する必要がないからだ。無風の地銀安定地域にみえる中国地方で実は、シェアトップの広島銀に不安な影が忍び寄っている。
「尼子が来るぞ!」。広島銀の支店では二四年春、幹部から融資担当者にこんな檄が飛んだ。尼子は戦国時代に今の島根県安来市の月山富田城を拠点として中国地方に覇を唱えようとした戦国大名。広島の毛利家と激しく衝突し、一時は毛利を追い込む勢いだった。
"尼子"とは山陰合銀。広銀・・・