日本製鉄「対米訴訟」で失う国益
「同盟不信」に小躍りする中国
2025年2月号
トランプの世が再スタートした。国際関係の分断が深まるのは確実だ。向かい合うのは中国であり、「分断の時代」において、日本は米中二大国の間で揺さぶられるという現実を直視するべきだ。特に経済分野においては、従来の大国意識を捨てて頭を低くし、小器用に立ち回らなくてはならない。トランプ政権は日米の離反を狙う中国の動きを注視している。日本の立ち位置は、戦国時代に例えれば織田と今川に挟まれた松平(徳川)のようなものだ。米国に対して不信感を微塵も与えず、中国に対しても不必要な刺激を与えないよう、細心の注意が必要だ。
こんな微妙な時期に、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール(USS)買収計画が政治問題化している。バイデン大統領(当時)が買収の禁止命令を出した一月三日以降、一気に「日本は一九四五年の敗戦から何も学んでいない」「中国より邪悪だ」(米鉄鋼大手クリーブランド・クリフスのローレンソ・ゴンカルベス最高経営責任者)など過激な発言が飛び出す事態にエスカレートした。責任の大半は日本側、とりわけ日鉄にある。
同社の橋本英二会長は同月七日に会見し、「全米鉄鋼労働組合(USW)のマッコ・・・
こんな微妙な時期に、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール(USS)買収計画が政治問題化している。バイデン大統領(当時)が買収の禁止命令を出した一月三日以降、一気に「日本は一九四五年の敗戦から何も学んでいない」「中国より邪悪だ」(米鉄鋼大手クリーブランド・クリフスのローレンソ・ゴンカルベス最高経営責任者)など過激な発言が飛び出す事態にエスカレートした。責任の大半は日本側、とりわけ日鉄にある。
同社の橋本英二会長は同月七日に会見し、「全米鉄鋼労働組合(USW)のマッコ・・・