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政治

首相官邸「人材欠乏」の困苦

実力者不在で進む「空洞化」

2025年2月号

 東京・永田町の首相官邸五階に、総理大臣執務室はある。部屋の入り口にはビデオカメラが設置され、首相番記者も別の階でモニターをチェックでき、面会者の顔をリアルタイムで見ることができる。首相が誰と何時何分に会ったのか事細かに記録されている「首相動静」を、朝刊各紙が掲載できるのはビデオカメラのおかげでもある。
 だが、総理大臣執務室にはカメラに映らない「裏通路」が存在する。その通路と直結している部屋の一つに通称「赤澤部屋」がある。
 赤澤とは、経済再生担当大臣を務める赤澤亮正のこと。首相・石破茂の数少ない側近の一人だ。
 官房長官や官房副長官以外で、首相官邸内に自室を持った政治家はほとんどいない。それだけ首相の信頼が厚いともいえるが、赤澤とはどんな人物なのか。

官邸内に「ミニ官邸」

 一九六〇年十二月、東京に生まれた彼は、全国高校の偏差値一、二を争う東京教育大学(現筑波大学)附属駒場高校から東京大学法学部に進んだ典型的な文系エリートだ。旧姓は森だが、母方の祖父で自治大臣を務めた赤澤正道・・・

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