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政治

政官界取材「女性記者」の武勇伝

「中居問題」と似た話はあるのか

2025年2月号

 フジテレビの「女子アナ性被害関与疑惑」は、1月17日の記者会見で明確に否定しなかった港浩一社長(後に辞任)の不自然な煮え切らなさが、「テレビ局ならいかにもありそうだ」という社会の偏見を増幅し、テレビ界全体への不信をかき立てた。発端が元タレント・中居正広氏の民事事件で、今のところ話は芸能畑にとどまっているが、社風を共にし、人事が連動している報道畑でも似たような慣行や体質は全くないのかという疑問は当然浮かぶ。女子アナの接待相手がタレントや芸能プロダクション幹部といった特殊な業界有力者なのに対し、女性記者たちが日々接するのは政治家や大物官僚といった別格の権力者たちだ。放送業は免許制で政官界に生殺与奪の権を握られている。立場の弱さは芸能界どころではない。
 思い出すのは、福田淳一元財務事務次官(現SBIホールディングス社外取締役)のセクハラ事件だ。安倍政権の2018年、森友学園問題を取材中のテレビ朝日女性記者に「抱きしめていい? 予算通ったら浮気するか。おっぱい触っていい? 手縛っていい? ホテル行こうよ」などと執拗に迫った。記者は証拠を録音。「週刊新潮」が音声データ公開付きで報じ・・・

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