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北朝鮮「対南謀略戦」が再加速

日米韓「離間」を狙うスパイ工作

2025年2月号

 北朝鮮はほくそ笑んでいるに違いない。尹錫悦大統領が出した非常戒厳に端を発した、韓国の混乱だ。北朝鮮と全面対決する方針を掲げた尹政権は、北朝鮮の安全保障を脅かす厄介な相手だったからだ。2018年9月の南北軍事合意を停止し、軍事境界線付近での偵察活動や演習を再開した。昨年6月、軍事宣伝放送も6年ぶりに再開していた。続く10月には韓国の無人機が三度にわたって平壌上空を飛行し、北朝鮮を批判するビラをばらまいた。当時、金与正朝鮮労働党副部長が談話を出すなど、北朝鮮は深刻な反応を見せた。韓国政府と軍は関与の有無について確認を避けているが、「市民団体も加わっていたが、政府や軍の何らかの関与があったのは間違いない」(韓国政府元高官)という。
 なかでも北朝鮮が頭を痛めていたのが、ソウルに住む3万人とも5万人とも言われる協力者、いわゆる間諜(スパイ)たちの摘発だった。北朝鮮協力者は主に3つのカテゴリーに分かれる。第一が北朝鮮国籍者。朝鮮戦争(1950~53年)の混乱に乗じて韓国に侵入・潜伏した人々のほか、南北軍事境界線を密かに通り抜けたり、潜水艇を使って海岸線に接近したり、さらには第三国人に・・・

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