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プーチン側近「停戦」を巡る政争

戦争継続派の「狂気」がなお優勢

2025年2月号

「ウクライナ和平」を掲げるトランプ米政権の発足を受け、新たな対応を強いられるロシアのプーチン政権内部で、戦争継続派と早期停戦派による路線対立が起きている。
 プーチン大統領自身は徹底抗戦派ながら、年末に「交渉と妥協の用意がある」「間もなく戦争を望む者は誰もいなくなる」と発言するなど、柔軟姿勢を見せ始めた。トランプ政権が打ち出す停戦提案を拒否すれば、中国、インドを含め国際社会の反発を招き、一段と孤立しかねない。
 ロシア経済は今年、原油価格下落やインフレ高進、軍事偏重予算などから、危機に陥るとの予測もある。大統領が今年、「プーチンの戦争」にどう決着を付けるかが最大の焦点だ。

「戦争党」と「平和党」の派閥抗争

 昨年末、国営メディア「ロシア・トゥデー」(RT)の著名な女性評論家、マルガリータ・シモニアン編集長が討論番組で、ウクライナ戦争の「受け入れ可能な解決策」を提案すると、保守派から猛反発を浴びた。
 シモニアンは「最前線に緩衝地帯を設置し、ウクライナはNATO(北大西洋条約機構)・・・

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