三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月刊総合情報誌

経済

《企業研究》東京ガス

最強ファンド「襲来」の罪と罰

2025年1月号

 バベルの塔ならぬ“バブルの
塔”と、東京ガスの社内でも自嘲を込めて呼ばれてきた。
「新宿パークタワー」―。都庁にほど近い東京・西新宿の一角に聳える、高さ二百三十五メートルの超高層ビルである。一九九四年四月の開業以来、地下五階、地上五十二階の内部は賃貸オフィスや店舗、多目的ホールを備え、三十九階からは高級ホテル「パークハイアット東京」が入居する。西に望む富士山の稜線と調和するように、三角屋根を冠した外観はバブルの残香を漂わす新都心のランドマークだった。
 その立地は本来、東ガスのガスタンクの跡地である。超高層ビルの建設は、同社中興の祖・安西浩の次男で、九九年まで十年にわたり社長に君臨した邦夫(故人)の“鶴の一声”で決まった。当時を知る有力OBは悲嘆する。
「三千億円以上を投じた“バブルの塔”が最強アクティビストに狙われるとは、泉下の邦夫さんも成仏し切れないだろう。市場を侮った現経営陣の報いだ」
 二〇二四年十一月十九日、資本市場には少なからぬ衝撃が走った。米国のヘッ・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます