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政治

石破を操る「財務省」

与野党を翻弄「官僚主導」の復活

2025年1月号

 邪推か明察か、政策から政局まで政治家でなく財務省が動かしているというストーリーは大概、一部の真実と誇張、真偽不明の情報が混在している。石破茂政権でも、先の総選挙で躍進した国民民主党が求める「年収百三万円の壁の引き上げ」を妨げているのが「財務省というDeep State(闇の政府)だ」といった言説がSNSに溢れる。問題は、これを陰謀論と切り捨てられないほど与党が弱体化している政治の現実だ。
 十二月十一日夕、年収が百三万円超で所得税が課される「百三万円の壁」の引き上げを巡り、実務者協議が行き詰まったことに業を煮やした自由民主、公明、国民民主三党の幹事長が突然、合意書をかわした。そこに記された「いわゆる『百三万円の壁』は、国民民主党の主張する百七十八万円を目指して、来年(二〇二五年)から引き上げる」との表現を見た財界関係者は「見事な『永田町文学』」と唸った。
 年収百七十八万円まで所得税を課さない場合、地方税収が約四兆円減るとの試算から、地方自治体も反対論一色となった引き上げ幅を具体的数字として盛り込んで国民民主党の顔を立てつつ、段階的な引き上げ、つまり、時間稼ぎの余・・・

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