「黄色い会社」―。ファナックが不正に手を染めていた。ロボットをはじめ産業機器を手掛けており、製品から社屋の壁、社員が羽織るベストまで執拗に黄一色にこだわる偏執ぶりとは裏腹に、高収益の日本メーカーとしても有名だ。そのファナックが、欧州連合（ＥＵ）の安全法規に背いていた。同社は今、不正一色に染まっている。
　欧州市場で産業機器を販売する際には、ＥＵの安全法規への適合を示すＣＥマークを製品に貼付しなければならない。このＣＥマークを貼るには条件がある。対象となる全ての整合法令（指令及び規則）の要求を満たすことだ。
　ファナックは、金型や金属製部品などを加工する放電加工機と呼ばれる工作機械において、ＥＭＣ（電磁両立性）指令に背いていた。これは電磁ノイズに関する指令で、産業機器から発する電磁ノイズと、電磁ノイズへの耐性の両方を規制するものだ。電磁ノイズは産業機器を誤作動させたり壊したりする危険性がある。産業機器が暴走すれば人命にも関わるため、ＥＵはＥＭＣ指令への適合を必須としているのである。
　ファナックの放電加工機は、発する電磁ノイズがＥＭＣ指令の定める規格（欧州規・・・