金融の世紀
第25 回【クレジットカードの革命家、ディー・W・ホック】
黒木 亮
2025年1月号
1970年頃、クレジットカードの無差別散布と消費ブームの追い風を受けた米国のカード業界は、加盟店で提示されたカードの認証が、電話と手作業のため非常に時間がかかるという問題に直面していた。
さらにもう一つ、「インターチェンジ」(交換決済)も問題だった。カードが利用されると、加盟店は取引銀行に売上伝票を郵送し、取引銀行は加盟店手数料を差し引いて売上代金を支払う。取引銀行はその伝票をカード発行銀行に郵送し、発行銀行は、インターチェンジ・フィーを差し引いて、加盟店の取引銀行に売上代金を払い、それをカードの利用者から回収する。この銀行同士の伝票と資金の受け渡しがインターチェンジだ。
これには中央決済機関が存在せず、マスターチャージやバンクアメリカードなど、同一のカードを発行している数千の銀行が、同じ数の銀行と、毎日伝票のやり取りとFRBの各行の預金を介した資金決済をしており、事務負担は空前絶後だった。手作業のためにミスが頻発するのは当然で、顧客や加盟店から苦情が殺到した。
その混乱状態に付け込んで、犯罪者が大量の印字前のカードを盗んで偽造したり、加盟店が嘘の・・・
さらにもう一つ、「インターチェンジ」(交換決済)も問題だった。カードが利用されると、加盟店は取引銀行に売上伝票を郵送し、取引銀行は加盟店手数料を差し引いて売上代金を支払う。取引銀行はその伝票をカード発行銀行に郵送し、発行銀行は、インターチェンジ・フィーを差し引いて、加盟店の取引銀行に売上代金を払い、それをカードの利用者から回収する。この銀行同士の伝票と資金の受け渡しがインターチェンジだ。
これには中央決済機関が存在せず、マスターチャージやバンクアメリカードなど、同一のカードを発行している数千の銀行が、同じ数の銀行と、毎日伝票のやり取りとFRBの各行の預金を介した資金決済をしており、事務負担は空前絶後だった。手作業のためにミスが頻発するのは当然で、顧客や加盟店から苦情が殺到した。
その混乱状態に付け込んで、犯罪者が大量の印字前のカードを盗んで偽造したり、加盟店が嘘の・・・