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経済

《地方金融の研究》福井銀行

吸収合併「福邦銀行」の末路

2025年1月号

 一体どのようなリストラ模様が描かれることになるのか。地元金融関係者らの間ではおののきを持って取り沙汰されている。「鮮血が迸り、生首が飛び交うような凄惨さにまでは至らないにしても、ある程度の流血は避けられないのでは」。域内信用金庫幹部の一人はこう呟いて首をすくめる。
 福井県のトップバンクで福井市を本拠とする福井銀行が、2024年10月に株式交換で完全子会社化した福邦銀行との合併を決めた。同11月に正式に基本合意書を締結。26年5月2日を期して吸収する。合併新銀行の行名は「福井銀行」。福井相互銀行を母体とし、1989年の普銀転換で誕生した「福邦」の商号は完全に消滅する。
 この計画に地元筋が戦慄を抱くのには訳がある。
 吸収合併に至るまでの経緯と道筋が、十六銀行(岐阜市)による岐阜銀行の“解体ショー”とほぼ相似形であり、必然的に十六銀が岐阜銀に強いた過酷なリストラを想起させるからだ。
 岐阜銀はバブル崩壊で経営不振に陥り、2001年に公的資金120億円を受け入れた後も苦境が続いてきた。当時、岐阜銀の親密行で発行済み株の20・・・

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