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中国軍部「内部抗争」が再過熱

習近平側近将軍「失脚」の深層

2025年1月号

 中国人民解放軍の人事部門トップである政治工作部主任を7年務めた上将・苗華氏が2024年11月28日、「重大な規律違反があった」として取り調べを受けていることが発表された。習近平国家主席の軍内で「最も重要な代理人」とみなされていた側近中の側近。その失脚は軍内勢力のバランスを大きく崩しそうだ。軍の各派閥を競わせ差配してきた習氏の求心力にも大きな影響を及ぼしかねない。
 近年の反腐敗キャンペーンで、上将クラスの軍首脳が失脚することはもはや珍しいことではなくなったが、苗氏が持つ重みは全く違う。14年と15年に失脚した徐才厚、郭伯雄・両元中央軍事委員会副主席は江沢民氏の側近だった。17年に失脚した房峰輝・元参謀長と張陽・元政治工作部主任は、胡錦濤氏の腹心とされる。元指導者につながる勢力の一掃は、最高指導者の習近平氏にとってむしろプラスで、軍内の権力掌握がより確実になったことを意味する。
 24年に失脚した李尚福・魏鳳和両元国防相は、習近平氏に近いとされるが、軍内の実力者ではなかった。しかし軍の人事権を握る苗華氏の失脚は、習派内部に大混乱をもたらす激震だ。
 69歳・・・

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