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米中貿易戦争の陰の主役「大豆」

「穀物」が深める世界の分断

2025年1月号

 第2次トランプ政権の発足で、国際関係はいよいよ本格的な「分断の時代」を迎える。米国側の第一手は、2024年11月に示された高率の追加関税による脅しだ。ただ、工業製品の貿易は相互依存の関係があり、ディール(取引)によって着地点を模索する展開になる。声高の脅し文句だけで「本気度」を推し量るのは危険だ。
 一方、食料は異なる。「食料がなければ戦えない」(石破茂首相)。つまり軍事的な性格を持つ。特に主食や家畜の飼料となる穀物の生産は、関税の上げ下げに対応する機動性に乏しい。軍事大国の「本音」は、穀物関連の政策に凝縮される。
 例えば、ロシアの種子の自給化だ。プーチン政権は20年1月に「食料安全保障ドクトリン」を公表し、食料安保を脅かす要因の1つとして種子を挙げ、21年末に新育種法を成立させた。欧米からの輸入種子は品質面で優れ収量が多い。国産種子を圧倒し、ロシアの種子の自給率は比較的高いトウモロコシでさえ約40%に低下した。トウモロコシ、ヒマワリ、ジャガイモなど主要農作物の種子の自給率を75%以上とする目標を掲げ、将来は完全自給を目指している。ウクライナに侵攻する2年も前か・・・

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