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イラン神権体制の止まらぬ凋落

シーア派枢軸「崩壊」の痛撃

2025年1月号

 イランが長年にわたり築き上げてきた覇権が、わずか1年で崩れ去ろうとしている。40年に及ぶ支援で盤石と思われたレバノンのヒズボラ指導層は暗殺に見舞われ、組織は麻痺状態に陥っている。かつてレバノン、シリア、イラクといった北アラブ一帯を掌握し、絶頂を極めたイラン。その勢力は、致命的な誤算によって、今や急激な凋落の局面を迎えている。
 決定的な一撃を与えたのは、シリア反体制派「シャーム解放機構」による電撃的な攻勢だった。彼らはわずか11日でアサド政権を崩壊させ、首都ダマスカスをほぼ無血で掌握した。イランのアラグチ外務大臣は、「シリア軍は戦意を失っていた」と恨み節を語ったが、その言葉が示す通り、シリア軍は全く抵抗することなくダマスカスを明け渡した。アサド大統領自身も軍を鼓舞することも戦場に姿を見せることもなく、早々にモスクワへ逃亡したといわれ、シリア軍の士気は消え失せていた。

イスラエルの巧妙な工作

 中東のメディア関係者は、「反体制派が攻勢を開始した時、アサドはアラブ首長国連邦やイラクに助けを求めたが、冷・・・

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