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ロシア「シリア喪失」の代償

軍と情報機関に「異変」あり

2025年1月号

 半世紀余り強権独裁統治を続けたシリアのアサド政権が2024年12月8日、あっけなく崩壊したことは、最大の後ろ盾であるロシアに大打撃となった。
 欧米では、「プーチン大統領は大敗を喫した」(米紙ニューヨーク・タイムズ)と皮肉られ、ロシアのメディアでも、「10年にわたって築いた膨大な援助や投資が一瞬にして失われた。1989年のアフガニスタンからの撤退に似ている」(政府系のモスコフスキー・コムソモーレツ紙)などと批判された。

ショイグ一派の粛清

 シリア喪失はプーチン政権内で責任問題に発展し、国防相だったショイグ安保会議書記への風当たりが強い。アサド政権の脆弱性を察知できなかった情報機関の失態も批判され始めた。プーチン政権はシリア喪失の批判を回避するため、ウクライナ攻撃に集中しそうだ。
 2015年にシリア内戦への介入を主導したのはショイグ前国防相で、参戦は「ショイグのプロジェクト」といわれる。
 前年のウクライナ領クリミアの無血併合で評価を高めたショイグは、中東で橋頭堡を確保し、米・・・

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