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連載

金融の世紀

第24 回【クレジットカード戦国時代】
黒木 亮

2024年12月号

 九六六年五月、バンク・オブ・アメリカは、バンクアメリカードへのフランチャイズ参加の呼びかけを開始し、翌月、シカゴの五つの銀行が参加を表明した。これにより銀行間のクレジットカード戦争の幕が開けた。
 同月、ファースト・ナショナル・シティ・バンク(本店・ニューヨーク、一九七六年にシティバンクに改称)もヒルトン・ホテル(本社・テキサス州シスコ)からハイステータスのクレジットカード、カルテ・ブランシェの持ち分五〇パーセントを取得した。
 八月十六日、二つの巨大銀行による全米進出の動きに危機感を募らせたマリン・ミッドランド銀行(現・HSBC銀行USA)のエグゼクティブ・バイス・プレジデント(上級役員)、カール・ヒンケは、同行の本店があるニューヨーク州バッファロー市に、ピッツバーグ・ナショナル銀行など十七行の代表者たちを招き、カードの相互乗入・決済機構、インターバンク・カード協会(Interbank Card Association、略称ICA)を設立し、全米の各銀行に、バンクアメリカード同様のライセンス方式で、新たなクレジットカード「インターバンク・カード」を発行する合意を・・・

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