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《世界のキーパーソン》エリス・ステファニク(米下院議員)

「米国第一外交」の新たな弁明役

2024年12月号

米国の国連大使に起用されるこの女性は四十歳というのに、記録ずくめの人生を送ってきた。二〇一四年に米下院に初当選した時には、三十歳。当時の女性下院議員の最年少記録だった。共和党内での出世も早く、「女性初」「最年少」などの冠が次々とついた。
「アップステート」と呼ばれるニューヨーク州の農村部生まれ。父親はガリツィア地方(旧ソ連と東欧の間の多民族地域)の出身で、母親はイタリア系だ。父親については、「チェコ系」とされていたが、娘が有名になるにつれて、先祖も研究されるようになり、今では「異説」も現れている。
 ステファニクは幼い頃から「聡明」と評され、学校の成績もよかった。政治活動に興味を持ち、十代の早い時期から共和党のボランティア活動に加わった。
 共和党は、民主党に比べると、「エスタブリッシュメントの党」「白人の党」である。同時に「経済活動の自由」を求める。努力家で高い能力を持つステファニクは、すっかり共和党にほれ込んだ。さらに〇一年の同時多発テロに強い衝撃を受け、外交・安全保障を専門とする決意をした。
 政治家としては、英国の「鉄の女」マーガレット・・・・

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