三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月刊総合情報誌

社会・文化

慶應「三四会」が歪める医療行政

厚労省「OB増殖」の危うい事態

2024年12月号

 利権が複雑に入り組む巨大官庁である厚生労働省のトップは行政に通じた大物議員の指定席であった。多くは東京大学出身者だ。ところが、10月1日発足の石破内閣で福岡資麿参院議員が厚労相に就任、2代続けて慶應義塾大学OBとなった。実は、厚労省の医系技官は仲間意識の強い慶應医学部OBが仕切っている。トップも慶應が続くとなると国民より仲間内の利益を優先させ、医療行政を歪めかねないのだ。
 厚労相はこれまで、自民党からのべ20期で11人が務めている。15期7人は、東京大学出身者あるいは中退者だった。最近では根本匠、加藤勝信、後藤茂之など官僚OBが目立つ。2代続けての慶應OBは異例だ。
 新大臣の福岡は自民党厚労部会長などを務めた厚労族だが、当選3回の参議院議員で51歳と若い。全国たばこ販売政治連盟の推薦候補であり、厚労大臣人事としては、これも異例だった。

国民の利益より「仲間優先」

 今回の福岡人事に影響したのは、武見敬三・前大臣が「大きなトラブルなく、任期を全うした」(政府関係者)ことだ。学者肌で大臣・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます