《企業研究》小野薬品工業
「オプジーボ成金」の見事な零落
2024年12月号
宝くじの高額当せん者が身を持ち崩してしまう話をどれだけ聞いたところで、人は、労せずして大金を手にすると所作を誤る。「金のなる木」もいつかは朽ち、「次」への投資や努力を怠れば、逆にあだになる。そんな世の常を体現したかに見えるのが、がん免疫治療薬「オプジーボ」を生産する小野薬品工業の株価の低迷である。
二〇二二年七月十五日に東京株式市場で三千九百二十九円の高値をつけて以来、小野薬品工業の株価は右肩下がりが続く。今年十一月十二日の株価は一千八百五十円と、ピークの半値以下だった。
経営状況そのものが悪いわけではない。
二三年度末の金融資産は現預金一千六百六十一億円、その他の金融資産二千百十六億円、投資有価証券一千二百十一億円で、総額は四千九百八十八億円。流動比率は三九九・一%、自己資本比率は八六・八%である。
配当も順調で、二三年度の一株八十円の配当は、製薬業界で最も勢いがあると言われている第一三共の六十円を上回っている。
良好に見えるデータの割に株価が上がらない理由は、市場が小野薬品工業の将来性に期待していない証左だと見ていい。{・・・
二〇二二年七月十五日に東京株式市場で三千九百二十九円の高値をつけて以来、小野薬品工業の株価は右肩下がりが続く。今年十一月十二日の株価は一千八百五十円と、ピークの半値以下だった。
経営状況そのものが悪いわけではない。
二三年度末の金融資産は現預金一千六百六十一億円、その他の金融資産二千百十六億円、投資有価証券一千二百十一億円で、総額は四千九百八十八億円。流動比率は三九九・一%、自己資本比率は八六・八%である。
配当も順調で、二三年度の一株八十円の配当は、製薬業界で最も勢いがあると言われている第一三共の六十円を上回っている。
良好に見えるデータの割に株価が上がらない理由は、市場が小野薬品工業の将来性に期待していない証左だと見ていい。{・・・