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経済

NTT法は国民軽視の「改悪」へ

地方はいずれ「切り捨て」の運命

2024年12月号

 NTT(日本電信電話)社長の島田明はあっさり白旗を揚げた。
「まだ課題が残っている。今の段階では無理でしょう」
 十月二十九日、総務省のNTT法見直しの審議会が開いた最後の事業者ヒアリング―。終了後、記者団に囲まれた島田は恬淡としていた。自民党の有力議員を後ろ盾とし、昨年九月から主張してきたNTT法の廃止を断念すると表明したのである。
 ヒアリングに同席したKDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの競合三社の幹部は一様に驚いた。しかし、情勢がNTTに不利であることは周知の事実。わずか二日前の総選挙では、「NTT法廃止」を獅子吼してきた自民党商工族の重鎮・甘利明が落選、その甘利を支えた元政調会長・萩生田光一も裏金問題で無所属出馬を余儀なくされ、辛うじて当選したものの、同党所属議員の扱いを受けていない。NTT法に対する永田町の熱量は一気に低下しているのだ。
 総務省の審議会は、①経済安全保障、②公正競争、③ユニバーサルサービスの三つのワーキンググループ(WG)に分かれ、議論を重ねてきた。WG報告書は、経済安全保障についてNTTの外国人株主の議決権比率を・・・

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