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欧州「麻薬汚染」の新局面

若年化と「凶悪犯罪」が蔓延

2024年12月号

 ヨーロッパ各国で「麻薬戦争」が激化の一途だ。
 中南米原産の麻薬を欧州大陸に運ぶルートが拡大し、フランス、ドイツ、イタリアなど西欧主要各国では、麻薬ギャング同士の抗争や各国当局との対立が広がるばかりである。
 中でもフランスでは、パリやマルセイユなど主要都市だけでなく、地方都市や農村部にも麻薬密売網が行きわたっている。「顧客」も高校生や中学生とどんどん若年化しており、フランス政府・治安当局にとって最重要課題に浮上した。いったい、何が起きているのか。

少年ギャング団の壮絶な殺し合い

 フランス西部の古都ポワチエ。「その名前を知っている」という読者は、相当な歴史通である。「トゥール・ポワチエの戦い」(七三二年)を筆頭に、英仏百年戦争の「ポワチエの戦い」(一三五六年)まで、この町の名前を冠した「戦い」が、西洋史の教科書にいくつか登場する。市の起源を四世紀までさかのぼれる、フランス屈指の古都である。
 現在のポワチエを訪れると、日中は眠ったような、静かな町だ。夏から初秋にかけては、日差・・・

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