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経済

《地方金融の研究》あぶくま信用金庫

公的資金を巡る疑惑と批判

2024年12月号

「公的資金で新しい本店なんか建てちゃっていいの!?」。口さがない業界雀からはしきりとこんなさえずりも聞こえてくる。
 福島県南相馬市を本拠とする「あぶくま信用金庫」の新たな“本丸”が十一月五日お目見えした。市内原町区にある旧本店の南側隣接地一千百八十四平方メートルで昨年十月から建築工事が進められていたもので、鉄骨造り四階建て。外観は総ガラス張りで、人口五・五六万人、高層建築のほとんどない地元ではかなり目立つ存在だ。
 延べ床面積は一千三百六平方メートル。「ハイブリッド型」と呼ばれる、鋼材を組み込んだ集成材や福島県産の木材などもふんだんに使われ、総工費は「およそ十五億円」(事情通)とされている。その原資を「実は公的資金で賄ったのでは」との冗談とも皮肉ともつかない噂がまことしやかに流布されているのだ。信金業界の中央機関とされる信金中央金庫の負担分を含め、あぶくま信金が二百億円にものぼる多額の公的資金を呑み込んでいるためだ。
 国が同信金への資本注入に踏み切ったのは二〇一二年二月。宮古信用金庫(岩手県)や気仙沼信用金庫(宮城県)などと同時・・・

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