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経済

富士ソフト争奪戦 「横浜銀行」の暗躍

「非上場化」KKRとの出来レース

2024年12月号

 米系大手買収ファンドがガチンコで争奪戦を繰り広げる富士ソフト。11月15日にはKKRがベインキャピタルの提案にわずか1円上積みした1株9451円で2回目のTOB(株式公開買い付け)を実施すると公表し、富士ソフト側もKKRに賛同を表明した。最終決着はベインがKKRをさらに上回る価格を再提案するのか、あるいは買収を断念するのかに掛かっている。
 だが、ベインが価格を引き上げたところでもはや勝ち目はない。
 というのも、「もともと富士ソフトの一部経営陣と同社が設けた特別委員会は、KKRで決着させることで握っている」(交渉関係者)からだ。しかも、それを裏で操っているのは、富士ソフトの取引銀行の一角である横浜銀行だというのだ。

裏切りの「助っ人」

 横浜銀は持株会社、コンコルディア・フィナンシャルグループ(FG)の中核銀行。規模では九州を地盤とするふくおかフィナンシャルグループに劣るものの、収益力が評価され時価総額は1兆円を超えて地銀トップに君臨する。
 グループの総帥はFG社長と横浜銀・・・