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経済

商社激震「セブン伊藤家」の強請

「小心」三井物産と「蛮勇」伊藤忠

2024年12月号

 カナダのアリマンタシォン・クシュタール(ACT)がセブン&アイ・ホールディングスに買収を提案したことは、日本の産業界に大きなうねりを引き起こしつつある。セブン&アイの創業家が防衛のための対抗策としてMBO(経営陣の参加する買収)を画策、その片棒を伊藤忠商事がかつぐことになりそうだからだ。
 だが当初、こうなる構図ではなかったという。ACTからなんとかしてセブン&アイを防衛できないかと考えた伊藤順朗副社長を中心とする伊藤家。MBOを企図したはいいが、LBOローンだけではなくエクイティ、つまり資本の出し手も探す必要があった。LBOで金融機関から集められる金額に限界があるなか、エクイティで不足分を補う必要があったからだ。
 伊藤家の資産だけではもちろん足りない。そこで最初、内々に話を持ち込んだのは、「セブン&アイの株主でもある三井物産だった」(セブン&アイ関係者)という。セブン&アイの株主構成を見ると、上位10位までのうち事業会社は2%弱を持つ7位の三井物産だけ。残りはすべて金融機関と伊藤家だ。
 事業会社筆頭株主の三井物産は、セブン&アイ傘下のコンビニエンス・・・