三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

日本政治「ポピュリズム革命」の憂鬱

「石丸・齋藤現象」とどう向き合うか

2024年12月号

 二〇二四年十一月十七日は、日本の「メディア王」の座が、SNS(交流サイト)へ名実ともに移った日として記憶されることになろう。
 日本では、テレビ全体の広告費が、新聞の広告費を抜いた一九七五年以降、NHKと民放テレビがメディア王として君臨してきたが、二一年、ネット広告費がテレビ、新聞など既存メディアの広告費総額を上回った。だが、民主主義の根幹である選挙への影響力でネットは、信頼性に勝る既存メディアより劣るとみられていたが、兵庫県知事選挙で、その常識は覆った。
 県議会が全会一致で不信任決議案を可決し、県庁を石もて追われた前兵庫県知事、齋藤元彦が退任からわずか一カ月半でX(旧ツイッター)やYouTube、インスタグラムなどSNSを駆使して知事選を制し、復活したのだ。齋藤の「パワハラ疑惑」を集中豪雨的に報じて知事失脚に大きな役割を果たしたテレビと新聞は、SNSに完敗した。

「正論」がかき消される社会

 選挙期間中、既成メディアは「稲村氏ややリード、斎藤氏が続く」(十一月六日・神戸新聞NEXT)・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます