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政治

財務省が乞い願う「大連立」

「野田再登板」を必要とする理由

2024年12月号

 「年収百三万円の壁」を巡り、十一月に全国知事会の村井嘉浩会長(宮城県知事)らが「地方の税収が減る。財源も示さず無責任だ」と反対の声を上げたが、国民民主党の玉木雄一郎代表がかみついた。
「総務省から全国知事会や各自治体の首長に工作している。こう発言してくれと、村上(誠一郎)大臣自身が連絡し、発言要領まで作って。いかがなものか」
 村上総務相と村井会長はやんわり否定した。総務省は各県・主要市に出向している総務官僚を通じて減収の試算データを流し、地方自治体内の「情報共有」の体裁で知事や市長に「大変だ」と気づかせる。データの出所は、財務省主税局総務課(地方税所管)である。財務省と総務省(旧自治省)は一体だ。どちらも軽々に大臣は動かない。大臣の出番は官僚と政党間で調整が済んだ後、「政治決着」を演出する場合のセレモニー用までとっておく。
 玉木氏の「暴露」はお得意のパフォーマンスか。そもそも分かっていないフシがある。玉木氏は財務省に十二年在籍していたが、留学や地方勤務、外務省・金融庁・内閣府出向が長く、本省勤務は係長級止まりで、ほとんど経験がない。政治家と・・・

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