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トランプが狙う 中国産業「破壊」

成長阻止と「空洞化」の策謀

2024年12月号

  トランプ第二期政権の経済政策は対中封じ込めの色彩を一段と強めることになる。大統領選で強調した「六〇%関税」は中国の輸出に壊滅的打撃を与え、先端半導体・同製造装置の禁輸は産業高度化を抑制する。そして極めつきはEV、バッテリー、太陽光発電パネルなど中国のシェアが高い製品群の米国内生産の強要だ。バイデン政権もEV、バッテリーなどに追加関税を上乗せするなど対中強硬策を取ったが、トランプ2・0は中国先端産業の生産拠点の中国外への移転を促し、中国産業の空洞化を狙う。世界に脅威を与えた習近平政権の産業政策「中国製造2025」はトランプ大統領再登板とともに瓦解に向かうだろう。

ハイテク産品への締め上げ

 トランプ次期大統領の政治行動の特徴は敵対勢力との大胆なディール(取引)にある。具体的成果はなかったが、北朝鮮の金正恩総書記との二度の首脳会談はその典型といえる。そうした認識から「中国指導部は大きな利益をちらつかせれば、トランプは対中姿勢を緩和する、と考えている」と中国の政府系シンクタンクの研究者は指摘する。{b・・・

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