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社会・文化

がん「早期診断技術」の最前線

世界の革新から置き去りの日本

2024年11月号

 血液検査を用いた「リキッドバイオプシー」と言われる、がんの早期診断の研究・開発が今、世界で急加速している。がん診断・治療は大きく変わる。だが日本での認知度は低く、研究もおざなりだ。世界の動きに鈍感な背景で、厚生労働省、日本対がん協会、日本医師会の利権がうごめいているというのだから、国民・患者不在の体質にあきれるばかりだ。
 今年のノーベル生理学・医学賞はマイクロRNAの研究を主導した米国の研究者二人が受賞した。そのマイクロRNAを、がん疾患の有無や進行状態の目安とする、バイオマーカーとして活用しようとするリキッドバイオプシー研究は二十年ほど前から進んでいる。
 マイクロRNAは、エクソソームというカプセルに入った状態で、がん細胞から放出され、血液中を循環する。それを分析すれば、血液検査だけで、がんの早期診断が可能になる。一回の検査で複数のがんを同時に調べることも可能だ。このような検査を「複数がん早期検出」(MCED)という。日本では国立がん研究センターや、京都大学などの研究チームが専門誌に成果を発表した。
 しかし、マイクロRNAはがん遺伝子と違い、がん・・・

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