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政治

「有頂天・玉木」が 翻弄する政局

消えない「大連立」の幻影

2024年11月号

 未明までかかって衆院選の開票が終わり、与党過半数割れの大敗が決した十月二十八日の朝一番、石破茂首相は亀井静香元金融担当相に電話をかけた。
「何とぞお力添えを賜りたい」
 石破氏が亀井氏に頼んだのは、玉木雄一郎国民民主党代表への取りなしである。亀井氏は協力を約束し、玉木氏に連絡を取った。すでに石破氏の指示で森山裕幹事長が国民側に接触していたが、からめ手からも懐柔を進めている。
 国民は公示前の四倍の二十八議席に増やし、公明の二十四議席を上回って与野党伯仲国会のキャスティングボートを握った。選挙後に笑顔を見せた政党党首は、与野党通じて玉木氏だけである。
 玉木氏は今のところ連立政権入りを否定し、「定義が分からない」ととぼけながら政策ごとに協力する部分連合を表明している。来年三月の二〇二五年度予算成立時まで、できる限り値をつり上げ、所得税課税「年収百三万円の壁」解消など衆院選で訴えた「手取りを増やす」政策で果実をもぎ取る戦術だ。来年夏には参院選もあり、下手な連立入りは得策でないという判断だろうが、玉木氏の与党志向、大臣ポスト欲しさは政界周知の事実であ・・・

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