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WORLD

「米国第一」の暗い世界

バイデン後「孤立主義」が招く混沌

2024年11月号特別リポート

 米国の大統領選が本誌発行から間もなく行われる。今号では民主党カマラ・ハリス、共和党ドナルド・トランプ両候補の勝敗予測ではなく(その決着は相当長期間つかない可能性がある)、最終的に勝者が誰になるにせよ、直ちに取り組まなければならない「米国の挑戦」を掘り下げ、次の四年間の国際政治の流れを考察してみよう。
 浮かび上がるのは「トランプ時代の世界政治」だ。「アメリカ・ファースト(米国第一)」の言葉に集約される、トランプ政権時代(二〇一七~二一年)の孤立主義志向が、民主、共和両党のどちらが勝者になっても、復活し、さらに鮮明になると予想されるのだ。
 第二次世界大戦直後の「米国一強」時代から、米ソの東西冷戦、中国の台頭と、世界の政治は時間を経るごとに多極化に傾斜している。それでも米国が軍事力と経済力で抜きんでた存在であるという構造は変わってはいない。中国経済の最近の変調で、「中国は米国を永久に追い抜けない」という指摘も説得力を帯び始めた。
 一方で、米国の有権者は国際政治への関与に消極的になっている。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領や中国共産党の習近平総書記は、・・・

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