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石破は日米同盟を荒らすな

マイケル・グリーン (シドニー大学米国研究センターCEO)

2024年11月号

―石破茂首相が主張する日米地位協定の改定や、日米の対等な関係再構築に現実味はありますか。
 グリーン 私は、石破首相が日米地位協定の改定を求めることで、誰にでもわかりやすいナショナリズムを示したのではないかと見ている。米国から「独立」するという印象を見せる意図があったのではないかと思うが、米政府高官が採用したいと思うような現実的な提案ではないだろう。
 そもそも日米地位協定は一方的なものではなく相互的なものであり、米国から日本に対して安全保障を提供している。米議会は、自国の若い軍人たちが地球の裏側にある日本の防衛のために奉仕をする際に、彼らが受けるべき保護について沈黙することは絶対にない。もし仮に11月の大統領選でドナルド・トランプ前大統領が勝利するようなケースになれば、日米地位協定の改定を提案すること自体が火薬庫にマッチで火を付けるようなものになる可能性さえあるだろう。
 トランプ氏は石破首相の主張に対して、「石破の言う通りだ。すべて時代遅れだ。日本から米軍をすべて撤退させる」と応じるかもしれない。石破首相の側近たちは現在、実際には地位協定改定という「パ・・・

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