日本囲碁界の遠い「復権」
一力「世界戦優勝」でも晴れぬ視界
2024年11月号
囲碁のプロ棋士をたばねる日本棋院は今夏、ひっそりと創立百周年を迎えた。長く人気が低迷し、メディアの食いつきは悪い。新聞に小さく出ていたが、コアなファンを除けば知っている人はほとんどいないだろう。
お隣の将棋界では九月八日、日本将棋連盟が創立百周年を迎えた。藤井聡太人気に沸くこちらは、記念の年に合わせて東京、大阪の二カ所で一気に将棋会館を新装オープンする景気のよさだ。ところがこの日は囲碁ニュースが上位にあった。日本の第一人者、一力遼が世界チャンピオンになったのだ。
中国・上海で行われた世界メジャー「応氏杯」決勝五番勝負の第三局で、一力は中国の謝科九段に逆転勝ちし、第一局、第二局と合わせてストレートの三連勝で優勝した。これは日本囲碁界の画期となる快挙だった。
日本勢が世界を制したのは十九年ぶり。この間、中国と韓国が覇を競い、日本は蚊帳の外に置かれていた。軌を一にして、日本の囲碁人口は急減。日本棋院はV字回復の起爆剤として世界タイトルの獲得を渇望していた。四年に一度開催の応氏杯は「囲碁のオリンピック」といわれ、優勝賞金は囲碁界で最高の四十万ドル。数あるメ・・・
お隣の将棋界では九月八日、日本将棋連盟が創立百周年を迎えた。藤井聡太人気に沸くこちらは、記念の年に合わせて東京、大阪の二カ所で一気に将棋会館を新装オープンする景気のよさだ。ところがこの日は囲碁ニュースが上位にあった。日本の第一人者、一力遼が世界チャンピオンになったのだ。
中国・上海で行われた世界メジャー「応氏杯」決勝五番勝負の第三局で、一力は中国の謝科九段に逆転勝ちし、第一局、第二局と合わせてストレートの三連勝で優勝した。これは日本囲碁界の画期となる快挙だった。
日本勢が世界を制したのは十九年ぶり。この間、中国と韓国が覇を競い、日本は蚊帳の外に置かれていた。軌を一にして、日本の囲碁人口は急減。日本棋院はV字回復の起爆剤として世界タイトルの獲得を渇望していた。四年に一度開催の応氏杯は「囲碁のオリンピック」といわれ、優勝賞金は囲碁界で最高の四十万ドル。数あるメ・・・