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社会・文化

在日中国人社会で進む「内紛と分断」

強まる本国の監視と支配

2024年11月号

 日本に長期滞在する在留外国人の総数が今年六月末で三百六十万人に迫り、総人口のほぼ三%となった。その最大勢力は約八十四万人の中国人で、山梨県の人口を上回る。日本は在日中国人社会との向き合い方を考えなければならない時代を迎えた。在日中国人は「老華僑」と呼ばれる長年の日本生活で日本に溶け込んだ人たちや改革開放後、留学で日本に来て定住した「中日友好派」、今世紀に入ってビジネスで日本と関わるようになった「新華僑」、さらに出身地域も関わる複雑な多層構造となっている。そこに近年、反日を掲げる習近平シンパが乱入、中国政府による在外中国人の管理強化もあり、監視、密告、衝突など分断が一気に深まった。新たな日中危機が日本国内で拡大している。
「微信(WeChat)は限られた親しい友達相手にしか使わないようになった」。都内の大学で教鞭を執る中国人教授はこう語る。日本在住三十年になるが、「今ほど中国人コミュニティが疎ましいと感じたことはない」という。きっかけは微信のあるグループでの議論だ。もともと日本に住む大学教授や日本企業に勤める中国人の他愛のない意見交換の場だったが、昨年から過激な反日を唱える見・・・

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