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社会・文化

サイバー被害で世界標準の「対処法」

注目される身代金「交渉請負会社」

2024年11月号

 ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)攻撃の被害を受ける日本企業が後を絶たない。問題は被害者の側が、事実をひた隠しにすることだ。今年だけを見ても、熊谷組、HOYA、三陽商会といった有名企業に対するランサムウェアグループの犯行声明が、ダーク(闇)ウェブで確認できる。最新の被害企業はカシオだ。
 これら企業がランサムウェア攻撃の被害を受けた事実は、日本ではほぼ知られていない。被害は隠蔽され、「不正アクセス」「システム障害が起きている」といった曖昧な説明で誤魔化すばかりだ。加えて、サイバーセキュリティ取材に弱い日本メディアは、事実を掘り起こす力がない。
 警察庁関係者は嘆く。
「サイバー攻撃被害を隠蔽するなどして、犯罪の発生や被害状況を共有できないとなると、防犯にも活かせなくなる」
 お寒い状況の日本でも、ランサムウェア攻撃などに対して、諸外国のような現実的なアプローチがそろそろ必要だ。「日本企業はサイバー分野で動きが鈍く、ランサムウェア被害への対応が浮世離れしていると言わざるを得ない」と指摘するのは、日本駐在の米セキュリティ企業経営者だ。
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